2016年05月21日

『第四間氷期』読書会報告

2016年3月21日(月・祝)京都市にて、KAP読書会による『第四間氷期』読書会を開催しました。
うれしいことに、参加者は10名と過去最大の参加人数となりました。Ustreamでの中継もしました。ただ、撮影ボタンを押し忘れ、冒頭20分ほど撮影出来ていません。中継を楽しみにされていた方、申し訳ありません。なお、プライバシーに配慮して、刷りガラスのような映像となっております。
今回は、Ustreamに書き込みがありませんでしたが、今後の読書会ではできるだけ拾い上げようと思っていますので、次回以降ネット参加もご検討ください。勿論リアル参加していただければ尚嬉しいです。
中継のURLは、http://www.ustream.tv/channel/9p4MS4HaSRfです。次回も変わりません。
今回の映像は、Youtubeにて公開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8cR0c-E7gkw
https://www.youtube.com/user/w1allen/videos?shelf_id=0&view=0&sort=dd

○予言機械とプライバシーの問題に関連して、犯罪予防として活用するくだりがありましたが、それを彷彿とさせる小説として、『ユートロニカのこちら側』(小川哲著、ハヤカワ)を挙げられている方がおられました。こちらは、プライバシーを提供することにより犯罪予防ができるというユートピアを舞台とした作品のようです。
また会社員のプライバシーに踏み入れる場面で、ためらう勝見と意に介しない頼木の構図があります。しかし、それも程度の差の問題と捉える意見があり、いろんな角度から読める小説であること実感できました。

○「今読むと、SFのガジェットが拙すぎる」という意見もあり、それに対して、当時の科学的知見や社会状況を踏まえよく書かれているという意見もありました。そして、文体や内容、テーマ性には読ませるものがあることでは一致しました。そこから、古典SFの評価をめぐり白熱した議論もなされました。本作を起点として、古今東西のSF作品が挙げられ、どれが後世に残るSFなのかが論じられました。
筆者は、ある方が仰った「懐かしい未来」(1950-60年に予想した未来を振り返る嗜好)という少し逆説めいた用語が面白く感じました。

○この作品のテーマである「現在と未来の断絶」については、安部公房の意図を受けて「現在から未来を直線的に予測は出来ない」ということではだいたい一致したようです。私たちがそれをどのように受け入れ、対処できるかはさらに問われているのですが。

○「胎児の値段7,000円」は、今の値段にするといくらか?という質問がでました。
それに対し、昭和30年当時の大卒の初任給が7,000円
1960年に中卒での初任給6,000円(松下や阪急)
公務員 大卒上級職 9,200-10,200円
今のお金で少なくとも10-14万円以上の値段でなかろうかという話になりました。いずれにせよ、かなりの高額といえます。

○妊娠三週間以内という設定は、ちょっと早すぎないか?実際には、気付かずに過ごすこともあるのでは?という話題にもなりました。
あまり大きいと残酷になるのを恐れたのか?などの意見も出ました。

○「登場人物が冷徹な性格の持ち主、理性のタガが外れている。この小説は、そういう登場人物ばかりで、実験的なところがある。」という意見がありました。それに対して、勝見博士の弱さや彼の人間的な側面を指摘する声があったり、情緒的な表現もあることを指摘された方もいました。

○勝見を糾弾する場面は、自己批判を強要する日共的や「細胞」的なやり方を彷彿とさせるものが有った。そこの場面に、日本共産党を除名された安部公房の反発も有ったのでは?という意見もありました。

○いろんな二面性が浮かび上がり、本当に一言では言い合わせない魅力をもった作品を語れた読書会になったと思います。

〇なお出席者によりその後もこのブログの掲示板『貝殻草と贋魚』で意見の交換が続けられています。
http://8010.teacup.com/w1allen/bbs
皆様のご参加をお待ちしております。

○今回、私アレンから安部公房全集二巻、hirokd267さんから『安部公房を語る』(安部公房の従姉妹渡辺三子さんが編集された『郷土誌あさひかわ』から安部公房特集をまとめたもの)をそれぞれ、1,000円でお譲りすると申し出たところ、どちらも買って頂ける方がおられました。この代金は読書会の運営費に当てられます。
また二次会でも楽しく安部公房談義ができました。また、お酒を飲まない方は、割引させてもらいます。今回は500円引きにしました。
一次会に出られた10名全員が2次会の王将に来てくださり、二次会も非常に楽しく盛り上がりました。老若男女がみな安部公房をサカナに盛り上がることができました。みなさん、ありがとうございます。

○次回は、7月18日(月・祝)の予定です。課題本は、投票の結果決まった『R62号の発明・鉛の卵』です。2ヶ月前に予約が取れるので、その際にツイッター・ブログなどで告知します。奮ってご参加ください。
また、リツイートなどで拡散に協力するなど広報に協力していただいた皆様にこの場を借りて厚く感謝の意をお伝えします。
posted by w1allen at 12:11| Comment(0) | KAP | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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