2007年01月27日

安部公房はハーメルンの笛吹き男

 20世紀に入る直前、日本でも夏目漱石を初めとする職業作家たちが誕生し、彼らは読者という存在を意識しない訳にはいかなくなった。読者に迎合する表現を求めるか、それとも読者と対決する表現を求めるか、二つの道を作家は選ばなくてはならなくなった。
 綺麗な文章表現形式を追求するロシアフォルマリズムは、前者に属するだろう。そして、安部公房の小説は恐らく後者に属すると思う。そして、安部公房の小説の真髄を「意味に到達する以前の表現の世界に読者を連れ出し、読者と共にその世界を彷徨う。」ものだと私は推測する。その際、作者はもはや馬鹿丁寧なツアーコンダクターではなくて、ハーメルンの笛吹き男になっているのではなかろうか?そういえば、安部公房の表現にはいつも笛の音に似た詩的な響きがあった。
ラベル:安部公房 文学
posted by w1allen at 16:09| Comment(3) | TrackBack(1) | 安部公房を読みこむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、こんばんわ。

「安部公房の表現にはいつも笛の音に似た詩的な響きがあった」、同感です。きっと風の音ですね。
Posted by モナド at 2007年01月27日 23:32
モナドさん、初めまして。
私は「風の音楽」を求めて陸地を目指したあげく、力尽きる水棲人なのかも知れません。^^)
モナドさんのブログで、『第四間氷期』についての記事があったので、これからコメントしに行きますね。
Posted by w1allen at 2007年01月28日 13:01
コメント&TBありがとうございました。
「感想文」、拝見いたしましたよ!
どんな時代であれ、「地上病」のような希望を見い出せたら、素晴らしいことですね。
Posted by モナド at 2007年01月29日 22:04
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