2006年06月21日

[語る]鞄というモチーフ

「他者への通路に置かれた障害物
 透明な鞄は、実用的ではない」

鞄のことを考えて、こんなことを思った。
「鞄」には、『笑う月』所収のものと、『棒になった男』の第一景の二種類がある。全く別の作品だが、根底ではつながっている感がある。
荷物を入れて運ぶというのが鞄の機能だが、透明な鞄というのはファッションとしては成立しても、実用性の面からは成立しない。なぜなら、鞄のもうひとつの機能である、秘密保持の機能が欠けているからだ。たいした荷物を入れていなくても、それを見られるのは嫌なものである。まして、無断で鞄の中をあけることが、どれほど非常識であるかは自明のことである。実際、『棒になった男』の第一景では、夫の鞄をあけるのを妻はためらい、結局あけることができなかった。
鞄というのは他者への通路に置かれた障害物なのだろうと思う。その障害物を互いに抱えながら、人間は触れ合うしかないのだろう。
posted by w1allen at 20:12| Comment(0) | TrackBack(1) | 安部公房を読みこむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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