昨日放映されたのは、おそらく『訪問インタビュー』という番組で、NHKアナウンサーの斎藤季夫さんが案内役です。1980年代の終わり頃、その年頭に、4回か5回に分けて放映されたもので、箱根の山荘の居間、書斎、安部公房劇団の稽古場などを場にしていたと思います。安部公房全集の中に(巻号は忘れましたが、いずれにせよ、80年代のものに違いありません)、インタビューの逐語録が収められているはずですから、ぜひご覧になることをお勧めします。
にあるように、
あの番組は、NHKの「訪問インタビュー」から抜粋・編集されたものです。このインタビューは、安部公房全集28巻に"1985.1.14 方舟は発進せず 斉藤季夫[インタビュー]"として収められています。[作品ノート]によると、「訪問インタビュー」は、4夜にわたって放送されたそうです。ワープロ、シンセサイザー、メモのコルクボードなどが映し出されていた1−3夜の部分が箱根・芦ノ湖安部公房山荘で収録されたもので、4夜目分は、演劇関係の話だったため、渋谷・安部スタジオで収録されたものだそうです。
「あの人に会いたい」の冒頭シーンで、安部がメビウスの輪や投影体の話をしていた場所が、実は安部スタジオだったのですね。1979年の「仔像は死んだ」上演を最後に、安部公房スタジオは活動休止しているので、「訪問インタビュー」収録時点に安部スタジオが残っていたことに驚きました。残念なことに、背景がぼやけていて、スタジオの様子はよくわかりませんでした。「訪問インタビュー」では、恐らく、もっと詳しいスタジオの映像もあったはずなので、marmotbabyさん同様、本編そのものを再放送していただきたい気持ちでいっぱいです。
『訪問インタビュー』ですが、実はリアルタイムでは観ていませんでした。安部の没後、「たづくり」とか言う場所で開かれていた安部公房展、その入口のモニターに流されていたのを観たのでした(4回分でしたから、結構な時間だったはずなのですが、座り込んで観てしまいました)。
ちなみに、私が初めて安部公房を知ったのは、「小説家」としてではなく、たまたま出会った毎日新聞の連載記事でした。たしか「技術と人間」という題の講演録で、私が高校生の時でした。夢中で読んだ憶えがあります。その後、その小説世界に囚われてしまいました(笑)。
そうそう、今日のYahooニュースで、竹中総務相がNHKのアーカイブをネット配信すべきとの考えを表明したとか。わざわざ「解禁」というあたりに、得体の知れない含みを感じてしまいますが、あと押ししたくなる話しですね。
「たづくり」に行かれたのですね。
私は、「ほら貝」で知りました。
http://www.horagai.com/www/abe/tadu.htm
しかし、モニターに見入ってしまう気持ちわかるなあ。他では見られないですからね。
ちなみに、私が安部公房を知ったのは、彼の死亡記事でした。