2006年04月13日

[語る]安部公房はロシア文学に影響されたか?

ねこやしきさんのねこやしきさらのおうち:「箱男」感想から、トラックバックを頂いたので、その返事のトラックバックを送らせていただきます。

初めに断っておくと、私は文学に疎い人間ですので、安部公房以外の作家の作品をほとんど知りません。ですので、自分で語れる範囲で語ってみようと思います。

安部公房にはどうもK教授のご専門辺りの20世紀ロシアの文学作品や詩が影響を与えているのではないかという気が、かなりしている。あと、独白するということに関しては、なぜだかドストエフスキーの「地下室の手記Записки из подполья」が思い起こされて仕方なかった。何にしてもロシア文学を熟知しているのではないかという気がする。もしかしてロシア語もかなり堪能だったのかもしれない。


興味深い意見ですが、安部公房に影響を与えたものは、ロシア文学だけではなく、広く世界文学という括りになると思います。安部公房の文学は、彼自身で作り上げた独自の文学と言っていいほど、他の追随を許さないユニークなスタイルであり、特定の作家の影響を挙げるのは、かえって安部公房を語る上での足かせになると思います。

しかし、私自身が以前書いたRe:質問例)[Q]安部が影響を受けた作家というと、誰になりますか? - 安部公房を語ろうのように、ポーとドストイエフスキーだけは、別格と言った感があります。

「テヘランのドストイエフスキー」(安部公房全集28巻所収)には、戦時中に『カラマーゾフの兄弟』に熱中していた話があり、そこでは
新聞の一面いっぱいに、白抜きの大見出しがパール・ハーバー奇襲を告げていた。しかしぼくにとって切実なのは、『カラマーゾフの兄弟』の第二巻が、すでに誰かに借りられてしまっているのではないかという懸念だった。日米開戦のニュースのほうが、むしろ遠い世界の物語のように感じられていた。

とさえ書いています。

英語はしゃべれないと公房自身が言っているくらいなので、ロシア語が堪能であったという可能性はかなり低いと思います。
posted by w1allen at 23:03| Comment(1) | TrackBack(1) | 安部公房を読みこむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、アレンさん、TBありがとうございます。興味深く拝見しました。

私は文学専門ではなくて、単に大学の一般教養と専修科目「ロシア文学」でやった程度なのですが、どうも安部公房の文体には興味をそそられたものでして。安部公房はドストエフスキーにのめりこんでいたのですね、しかも開戦の一大事に「カラマーゾフの兄弟」ですか、それなら合点がいきます。これは私の勝手な想像ですが、彼はロシア語というよりも、ドストエフスキーの語り口に心酔したのではないでしょうか。あのロシア語調は、それだったら納得がいきます。カラマーゾフ読んでるんだったら、他のも読んでるはずですから。

いや、おもしろいです。また遊びに来ますね!
Posted by ねこやしき at 2006年04月13日 23:14
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